「特定非営利活動(NPO)法人 山梨ICT&コンタクト支援センター」設立の背景には、現代を象徴する二つの大きな流れがあります。一つはICT技術の分野における「クラウドコンピューティング」の発展・普及であり、もう一つは社会的課題の解決に取り組む企業活動「ソーシャルビジネス」の活発化です。
第一の「クラウドコンピューティング」は、インターネットに接続できる環境さえあれば、世界中のあらゆる場所で均質なサービスや就労環境を実現します。わが国でも、ICT関連コストの削減や変化への柔軟な対応といったニーズの高まりを受け、仮想化技術の進展とともに、クラウドは急速にその市場を拡大しています。また、セキュリティやコンプライアンス対策が徹底されたことで、多くの個人情報を取り扱う「公共、医療、教育」などの分野への浸透も進んでおり、新たなサービスやビジネスモデルが生まれる土壌が整いつつあるといえるでしょう。
第二の「ソーシャルビジネス」は、社会問題を官公庁まかせにするのではなく、企業がビジネスとして取り組むことで解決していこうという動きです。日本では2000年代から活発になってきました。特に、私どもが注目したのが、「ヒト・モノ・カネ・情報」といったビジネスリソースの東京一極集中に対する「地方の弱体化」です。今後、日本が世界の発展に取り残されないためにも、地方経済の活性化は欠かせません。そのためには、地方に新たなるビジネスを興し、雇用を生んでいくことが重要になってきます。そして、この地方の課題を解決するのにクラウドは非常に有効な技術なのです。
「NPO法人 山梨ICT&コンタクト支援センター」は、まず山梨をクラウドによってネットワーク化し、日本でも最先端の「スマートまちづくり」を実現することを提案しています。
クラウド技術を使えば、現在多くの人々が持っている携帯電話やスマートホン、パソコン、加入電話やファックス…などを利用し、特別な費用負担なしで「スマートまちづくり」が可能です。
ここからさまざまなビジネスの可能性が生まれてきます。地方のもう一つの課題である高齢者の健康を維持し、一人暮らし世帯を見守るサービスには大きな期待がかかります。メタボ対策など働く世代の人々の健康管理にも効果を発揮するはずです。また、小規模生産の特産品などをネット経由で通信販売する産直ネット通販も手軽にできるようになります。
この「スマートまちづくり」の中心に欠かせないのが「コンタクトセンター」です。電話やメール、ファックスでの問い合わせや注文を受け付け、適切なサービスを手配し、料金の徴収などまで行います。そのためには専門的な応答技術を身につけたオペレーターの存在が重要になってきます。つまり、「スマートまちづくり」を進めることで、地元に新たな雇用が生まれ、そのための人材育成や就職・転職を支援するシステムも進みます。こうした動きが、各種サービスの活性化とともに地域経済を刺激し、より豊かで暮らしやすい社会の実現へとつながっていくと確信しています。
地方の課題を解決する有効なソリューションとしての「クラウド活用」と「スマートまちづくり」。山梨がわが国での先駆者といわれる日もそう遠い未来ではないでしょう。
「NPO法人 山梨ICT&コンタクト支援センター」の「スマートまちづくり」プロジェクトを技術的に支えているのは、ICTの分野で30年以上の豊富な実績を持つ株式会社シーシーダブルです。特にコンタクトセンターの構築・運営の高度なノウハウは世界的にも評価されており、オペレーターの教育・育成の面でもわが国でトップレベルの実力を持っています。
そして、この株式会社シーシーダブルの代表であり、NPOの設立発起人でもある金成葉子は、山梨市で生まれ育ちました。大切な故郷の発展を願う気持ちが「NPO法人 山梨ICT&コンタクト支援センター」をスタートさせる大きな原動力になっています。もちろん、山梨に縁のある「産官学」のキーパーソンとも豊富な人的ネットワークを持っており、そのチームワークによってプロジェクトを推進していきます。